啓蒙の光2-デカルト「方法序説」発表

1637年、デカルトの「方法序説」が発表された。近代思考の礎石を据えたといわれるこの書が発表されたのは、実に30年戦争の真っ只中である。彼は10歳のときイエズス会の学校に入り、特に数学で才能を発揮し、20歳でポアティエ大学法学部を卒業した。

何とそれから彼は書物を捨て、「世間という大きな書物」を読むため、オランダの軍に入る。オランダ軍は数学や科学を取り入れており、ここでも学ぶ。しかし30年戦争に参加しようと神聖ローマ軍に入るのだから血気は盛んだったようだ。19年11月10日、彼に啓示があり、夜に3つの神秘的な夢を見る。

彼は学究の道に戻ったが、あちこち遍歴の旅を続け、28年から自由で活気のあるオランダに住む。デカルトはガリレオの地動説に共鳴するが、異端審問を恐れ、科学の基礎となる思考方法について書くことにした。

彼はモンテーニュのような懐疑論で徹底的に疑う、時代的に何もかも疑わざるを得ない。そしてその疑う「我」の存在に基礎を置く。「我我考える。ゆえに我有り」その我は精神=理性である。そして理性で神の存在まで証明しようとする。しかしある意味イエズス会のロヨラも精神の力で神を証明しようとしていた。デカルトは、人間理性が中心となる啓蒙主義を拓いたのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。