バロックの時代13-ヴェラスケスの印象派絵画

ルーベンスに放っとかれたヴェラスケスは単独で1529年10月にローマに行った。当時のローマは、30年戦争でのカトリックの勝利に酔い、バロックの花が開いていた。何よりも教皇ウルバヌス8世の寵愛を受けたベルニーニが劇的なバロック彫刻をつくり、有名なサン・ピエトロ大聖堂の天蓋を制作していた。

教皇は、カトリックの勝利にふさわしい都市にローマを大改造し、また教皇領を史上最大に拡大した。ヴェラスケスは教皇の甥枢機卿から便宜を図ってもらい、ミケランジェロやラファエロらルネサンス絵画を研究した。またローマ行きには英雄スピノラ将軍と同乗したことで、将軍が活躍した「ブレダの開城」を描くことになる。

ヴェラスケスは、ローマで注文にはよらない自分の絵画を描いた。「ヨセフの長衣を受けるヤコブ」「ウルカヌスの鍛冶場」は、ボデコンの現実と神話の融合をひきつぎながら、イタリア古典絵画の影響を受けている。

1830年夏、ヴェラスケスは暑さをしのぐため、高台にあるヴィラ・メディチに居を移した。そこで2点の全く革新的な絵画を描く。彼は戸外に出て、うつろいゆく光景を描いた,史上初の屋外制作絵画である。それも薄い色調の上に濃い色で物を描くという方式。大胆に細部はカットされ、300年後の印象派を先取りしたような絵画である。

下はヴィラ・メディチの庭園

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。