覇権交代1-オランダ誕生

スペインではフェリペ2世の息子が3世として即位した。なんと繁栄したスペインだが、成人した息子は彼一人きりだった。死の床で父は「神は私に多くの国を与え給うたが、子を与えて下さらなかった。私の子は支配する側でなくされる側になるのではないか」と心配した。

3世は、父とは反対に仕事嫌いで狩猟や娯楽に熱中した。彼はあだ名を「怠惰王」と呼ばれ、寵臣レルマ公に政治をまる投げし、ここに寵臣政治が始まることとなる。さっそくやったのはそれまでの官僚が住むマドリードを離れ、自分のバリャドリードに宮廷を動かすことだった。

政治力も衰え、英仏蘭3国同盟が結ばれて、スペインは孤立した。ネーデルランドでは、1600年にニウポールトの戦いに敗れたが、その後ジェノヴァ人司令官スピノラのもと、互角の戦いを行った。しかし戦争をする余力は薄れ、ネーデルランド7州は実質的独立を勝ち取った。

7州は意思決定機関である州議会をホラント州ハーグに置き、オランダという名前が誕生する。日常政治は各州議会が行い、対外的問題は州議会が行った。州総督としてオランイェ公一族がいわば大統領的立場に立ち、州法律顧問が首相の役割を担い、このシーソーで意思決定が行われた。

下はファン・ハッセン作「ハーグ議会」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。