バロックの聖性1-アビラの聖女テレサ

1568年カトリックでは偉大な聖女が改革への道を歩み出した。その名はテレサ・デ・アウマダ、アビラの聖女テレサである。彼女は少女の頃友達とオシャレに夢中でキャッキャウフフ女の子だった。そんな娘を心配して父は修道院で修行させることにした。そこで人生に悩み、彼女は本当に修道院に入ってしまう。

修道院で彼女は病に苦しみ、1538年4日間生死を彷徨い、その後も寝たり起きたりの状態を繰り返す。54年、そんな彼女がたまたま傷にまみれたキリスト像を見たとき、不意に「神が私に迫ってきた」と感ずることになる。それから彼女は、キリストを見る神秘体験を繰り返すのである。

彼女の手記を有名にしたのは非常にリアルな体験と「心臓に矢を入れられる」ような苦痛、それによる恍惚感である。すでにロヨラも、神に近づく道を発表していたが、テレサは神との一致を感覚的に表現した。プロテスタントは聖職を否定したが、カトリックは神と一致の体験で聖職を復活させる。

しかしそれをするためには当時の修道院は「世間の名誉や快楽があまりにも承諾」されている、と彼女は考えた。62年アビラ司教の許可を得て、厳格に戒律を守り、貧しく、靴も木靴かサンダルという新しい修道院を建てた。そして68年新しい跣足カルメル会を創り改革の道を歩み出す。

下はご存じベルニーニの傑作「聖テレサの法悦」

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。