フランス軍は一方をナポリに向かわせ、他方2万でミラノ南方のパヴィアを攻めた。ここはスペイン軍の拠点ではあったが、小都市で兵糧も多くない。仏軍は包囲網を敷いた。追って来る皇帝軍は大軍ではあるが連携がとれていない。それに中央集権が不十分で、傭兵や農民軍で、金がなくなれば戦わない。
ここでスペインを指揮するペスカラ候は、3週間の後、川を迂回して、フランソワ1世の本陣に早朝奇襲をかけた。プライドの高い皇帝軍がまさか奇襲するとは思わず、仏軍総崩れ。城内からも打って出て、総大将のフランソワ1世が捕虜になり、他将も殺害されたり捕虜になったりで、1万の死者を出す大敗を喫した。いや関ヶ原も、大軍のプライドを捨ててこうすればよかったんだ。
1525年2月24日、カール5世の周囲は大歓喜である。特に宰相ガッティナラは、大欧州主義者で、皇帝にカール大帝以来のヨーロッパ統一の希望をかけていた。今やその障害となる仏王はわが手に落ち、欧州は皇帝のもとに統一され、オスマンに向かうのだ!
しかし残念ながら現実はそんなに甘くない。英大法官ウルジーは、皇帝が強くなりすぎるのを恐れ、王なきあと指揮を執ったルイーズ母后と和した、英の伝統となる大陸均衡論である。そして母后は愛国心を煽って国内をまとめ、スレイマンと結ぶのである。
下は「カルロス聖なる帝国の覇者」よりパヴィアの戦いで捕虜となるフランソワ1世
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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