シエナの聖女9-危機一髪!戦争再開を防ぐ

カタリナは再びフィレンツェに向かった。しかし一件落着とはならなかったのである、1377年2月、教皇特使がチェゼナで殺りくを働き、その影響でローマで暴動が発生。ビビった教皇グレゴリウス11世はローマを逃げ出して、アナーニへ退いてしまったのだ。

カタリナは、教皇がローマを離れると教会は崩壊すると帰還を要請した、その予言は的中する。しかしカタリナにも危機が迫った。78年3月教皇が逝去、フィレンツェは和平派と戦争派に分かれた。カタリナは和平の希望が出たと、和平派にヴァチカンと和解するよう働きかける。

ところが戦争継続派はそれが気にくわない。機先を制してカタリナを暗殺し、一気に騒乱を起こしてしまおうとして蜂起した。カタリナは仲間と小さな家に住んでいたが、暴徒達は「火あぶりにしろ!」と押しよせた。カタリナ絶対絶命のピンチ。しかし死を恐れて聖女はやってられない。

彼女は自分を殺そうとしてきた者の前に歩み出て「私がカタリナでございます、私を殺して他の人はご勘弁ください」と首を出した。こうすると暴徒も弱い者だ、彼らは我先にと逃げ出し、カタリナは殉教できなかったことを神に嘆いた。しかしカタリナはフィレンツェの戦争再開を防いだのである。

下はカタリナ危機一髪

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。