世界大戦への道37-英国の三枚舌外交

戦争はデマや嘘が飛び交う世界である。とにかく自分が生き残るためにはなりふり構わない。日本でも関ケ原の戦いなどでは、東西両軍が味方を得るために恩賞のふるまい合戦を行った。第一次大戦では、中東の支持を得るためイギリスは悪名高き「三枚舌外交」を行ったのだ。

1915年10月にメッカの太守フサインとエジプト高等弁務官の間で結ばれた「フサイン=マクマホン協定」では、対オスマン戦協力を条件にアラブ地域の独立を約束した。ところが16年5月には「サイクス=ピコ協定」でなんと中東地域の英仏露分割を秘密に決めたのである。

さらに17年にはアメリカで力のあるユダヤ人の戦争協力のためにパレスチナにユダヤ人入植を支援する「バルフォア宣言」を行った。イギリスとしてはパレスチナはアラブ地域に入っていないと考えたが、シオニスト達はパレスチナに国家建設を考えており、パレスチナをめぐる今日の混乱を呼ぶものだった。

有名な映画「アラビアのロレンス」では、イギリスの白人がアラブ人のオスマン帝国からの独立を支援してさっそうと戦う。「ランボー」ではアフガンの独立のためにアメリカ人が戦う。しかし西洋人に都合が悪ければテロリスト呼ばわりされ、支援しても見捨てられるご都合主義は今日も変わっていない。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。