現代芸術22-エルガーと世界大戦

イギリス音楽といえば、長年不作の汚名を甘受してきたが、今はそんなことは言わせない、そうエルガーが居たのだ。1901年に作曲された「威風堂々」は、時代を越えてポピュラーな曲となった。さらにこの曲に歌詞をつけた「希望と栄光の国」は、エドワード7世の戴冠式に使われ、イギリスの愛国歌となった。

しかしエルガーの心は複雑だったようだ、彼はドイツ系でドイツロマン派が大好きで友達も大勢いた。国の求めに応じて開戦当初愛国的な曲を作曲するが、だんだん気が滅入ってしまう、「希望と栄光の国」がまるで軍歌のように歌われたことも心外だったようだ。

ドイツ系といえば、そもそもイギリス王家がそうである。この王家はハノーヴァー朝またはサクス=コバーグ=ゴータといい、父アルバート公はれっきとしたザクセン公爵家、現国王ジョージ5世の王妃もかなりドイツの血が濃い。さあたいへんなことになった。

そこで窮余の策として、国王は家名を王宮のあった場所の地名をとって1917年「ウィンザー家」に改名する。家よりも国民感情を尊重したいかにもイギリス王家らしい。しかしその子エドワード8世になると、国民感情よりも自分の恋愛感情を尊重して国王を退位することとなった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。