世界大戦へ28-混迷のロシア総動員

バトンはロシアに戻ってきた。露皇帝ニコライ2世は、独皇帝ヴィルヘルム2世にドイツが退いて、オーストリアを説得してくれるよう電報を打った。ところが独皇帝は「自分が戦争動員してるのに何をぬかすか」と思っていた。露政府は、部分動員では心もとないと総動員を求めていた。

ニコライ2世は、一旦総動員に同意するが、独皇帝から「ロシアが動員していると、自分がオーストリアに調停しようとしている努力が無駄になる」との電報を呼んで気が変わり、また部分動員に戻った。しかし7月30日今度は「ロシアが動員すればドイツも動員せざるを得なくなる」という強い調子の電報が届いた。

この電報でビビった露皇帝は、総動員命令に署名した、宣戦布告したとはいうものの墺帝国軍は動きが遅く、軍を一番最初に動かしたのはロシアだった。ロシアは日露戦争に負けて国内が動乱したトラウマがあり、戦争に失敗すると皇帝の地位が危ないと思っていた。

7月31日、ロシアが総動員を行ったという知らせがドイツ政府に伝わり、独皇帝は「戦争危機状態宣言」を発表する許可を与え、ロシアに最後通牒を送った。ドイツの戦争計画であるシュリーフェンプランは何年も前にできて、修正しながら生きていた。ドイツが戦争に走ると止めることは不可能だった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。