世界大戦へ27-英仏の逡巡

実は7月15日からフランス大統領ポアンカレはロシアを訪問していた。そして露仏の緊密な協力関係を申し合わせた。そうはといっても、フランスはロシアに早く宣戦してほしいし、ロシアはドイツに攻められたとき関係のないフランスが戦ってくれるのかいまいち不安なところがあった。

ロシアが部分動員を開始すると、フランスとしても動かさるをえなかったが、軍が動いたのは国境の10キロ手前だった。さらに国内の社会主義者の動向も心配だった。とにかくフランスが先に動くことはないということを示すことにした、大事なのはイギリスである。

そのイギリスはというと、同盟国の動きにかかわらず自分で決定するというスタンスを取っており、オーストリアにセルビアと交渉するよう言い渡したりしていた。しかし政府内では、大陸の戦争に介入しなかった場合、どちらが勝つにせよ戦後のイギリスの立場は弱くなるという不安があった。

イギリス議会与党の自由党は開戦派と不介入派に分かれ、議員は公然と戦争に反対すると首相に伝えていた。政府も動きがとれず、ドイツに露仏と同盟して戦争をする意志があると警告を送ることもできなかった。欧州を代表する外相といわれたグレイはこのことを戦後かなり悔やんだようだ。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。