第8回十字軍3-激突マムルークVSイルハン

1260年、ダマスカスを制したモンゴルのイルハーン国は、いよいよエジプト征服に動きだした。将軍はキト・ブカである。マムルーク朝は論議の結果、これを迎え討つことに決した。9月3日、両軍はガリラヤ丘陵のアイン・ジャールートで激突した。数で勝るモンゴル勢は一気に押しつぶそうとしたが、バイバルスの陽動作戦にひっかかり、深入りしたところを本隊に襲いかかられ、大敗を喫した。

お株を奪われた戦術で敗北したキト・ブカは降伏を拒否して斬首され、イスラムからも天晴れと称賛された。前のダマスカスのスルタン、アル・ナシルも、内通を疑われて、モンゴルによって処刑、ここにアイユーブは完全に絶えてしまう。

マムルークのスルタン、クトゥズは、ダマスカスに入城し、マムルークがエジプトだけでなく、シリアにまで支配を広めることとなった。しかしクトゥズは、バイバルスを怖れ、アレッポの領主にしなかったため、かえってバイバルスに殺害され、バイバルスが名実共にスルタンとなった。

バイバルスは、先代カリフの弟カシムをカリフとして、カイロにイスラム帝国を再建した。対モンゴルに軍を強化し、軍事国家化を強めていく。そして十字軍国家を圧迫していくことになるのだった。

下はアイン・ジャールートの戦い

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。