世界大戦へ2-Cルーズベルトの反トラスト

1901年8月31日、またもやアメリカ大統領マッキンリーが暗殺された。実行者はレオン・チョルゴッシュというポーランド系移民である。彼は1900年のイタリア国王暗殺事件に影響を受けて実行した。無政府主義者であり、アメリカの富の不平等に不満をもっていたことが背景にある。

そして新大統領に昇格したのが、副大統領だったキューバ侵攻の英雄セオドア・ルーズベルトである。42歳と10カ月はそれまでの史上最年少の若さである。彼は就任するや12月3日に議会に年次教書を送って自分の施政方針を明らかにした。その中で暗殺を非難しつつ、富の不平等や社会問題を認めるのである。

ルーズベルトは、アメリカの富の発展を称賛する一方で、トラストと呼ばれる巨大企業群が、一般の福祉を害する特徴なり傾向がある、と教書に書く。そしてこれらを規制監督せねばならないというのだ。そして彼は今まで使われたことのない「シャーマン反トラスト法」を使ってトラストを分割する。

またこの教書では政府と契約する事業所では、女性と児童労働の規制を行う、とした。ルーズベルトは健全な労働組合の結成を推進し、労働者の生活を改善する社会改良主義の立場から「革命を避けるための改革」を推進した。自由主義のアメリカに政府の規制が入ったのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。