第6回十字軍10-人質身代わりメルセス会

この時代、ドミニコ、フランチェスコ会だけでなく、興味深いウェーブも起こっている。メルセス会、この創立者聖ペドロ・ノラスコもやはりアルビジョア十字軍でシモン・ド・モンフォールの軍に居たのである。彼はそこでアラゴン王子と戦友になり、アラゴンに行くことになり、王子は即位してハイメ1世となる。

当時のスペインはイスラムへのレコンキスタがすすんでいたが、ペドロは全く違うことを行おうとする。1218年、聖母マリアが彼のもとに出現し、「イスラムの奴隷となったキリスト教徒を救いなさい」とのお告げがあったという。そのお告げは、ハイメ1世と、また聖ライムンドゥス・ノンナトゥスにも出現した。

3人は8月15日に、「慈悲深き聖マリアの奴隷救済会(メルセス会)」を創立した。その活動たるや、身代金を集めてグラナダからキリスト教奴隷400人を解放するのはいいが、いざとなったら自分が人質になって解放するという会なのである。事実ペドロもライムンドも人質となっている。

この会は、イスラムのキリスト教徒が解放された後も存続し、現在では世界の抑圧された人達を解放するための会となって世界中で活動している。日本では「蟻の町のマリア」で有名な北原 怜子さん@聖女候補、がこの高円寺教会で洗礼を受けている。十字軍の時代は、その反発により、ドミニコ、フランチェスコ然り、武力に依らないキリスト教の新しいウェーブも創りだしたのである。

下は身代わりになって人質となる聖ペドロ・ノラスコ

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。