第6回十字軍9-フランチェスコ歌と共に逝く

ついにフランチェスコが天に召される日が近づいた。彼は担架でポルツィウンコラ礼拝堂の近くの小屋に運ばれたが、懐かしい癩病院の前で止まり、アシジの町に別れを告げたという。そして1226年10月3日、夕暮れの中詩篇を歌いながら力尽きた。暗闇が皆を包んだ。

柩は遺言通り、クララの居るサンダミアノ修道院の道を通り、その前で開けられクララは最後に中から見ることができた。実は2人は最後に会おうと思ったときがあったが、お互い病気で、クララは伝言を送り、フランチェスコは返信を歌にして、弟子に彼女の前で歌わせた。

クララは、愛おしい彼と最後の別れをして、もう自分を導いてくれる人はいないと泣いた。クララと別れた後、遺体はサンジョルジョ教会に葬られた。クララは、フランチェスコの死後20数年も生き、フランシスコ会の規則が緩くなっても、無所有を貫いた。そして今度はクララが町を戦争から救うのである。

さて、天界では「あー聖なる方ってじれったいわねー、イエス様も私のハグを受け止めてくれなかったしー」「そーよマグダレナちゃん、私なんか母が会いに来たっていうのに、みなさんが私の母だなんて言っちゃうしー」「イ、イエス様これは?」「あーフランチェスコちゃんよく来たねえ、今取り込み中だから、男同士であちらで話そうね」

下はアシジを見下ろす聖フランチェスコ像

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。