1894年、反ユダヤ主義の広がりの中で起こったのがフランスの「ドレフュス事件」である。陸軍機密文書をドイツ軍に漏洩したという疑いで、ユダヤ人士官ドレフュス大尉が逮捕されたのだ。証拠とされるものは、筆跡が似ているというだけだった。そしてこれが反ユダヤ主義の新聞にスッパ抜かれた。
慌てた軍は、ドレフュスに終身禁固刑を言い渡し、ギアナ沖の悪魔島とよばれる監獄島に流された。この島は有名で、映画「パピヨン」に脱獄が描かれている。しかし軍の思う通りにはいかず、ユダヤ人ジャーナリストがドレフュスを援護して、国論を二分する大論争となった。
96年には新聞に、ドレフュスが書いたとされるドイツ軍あての文書がスッパ抜かれ、どう見てもドレフュスのものではないと白日のもとにされた。そして陸軍情報部は、真犯人はエステルアジ少佐ということを突き止めたが、なんと彼は無罪となってしまった。
作家エミール・ゾラは「私は告発する」を発表したが、反対に名誉棄損罪になり、彼はイギリスに逃げるハメになる。結局ドレフュスは、1899年新大統領のルーベにより特赦を受け、1906年正式に無罪となった。この事件を見ていた記者のテオドール・ヘルツルはショックを受け、シオニズム運動を起こす。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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