1893年、駆け出しの作家アンドレ・ジッドは北アフリカに旅行した。彼が厳格なユグノー(プロテスタント)の家で育った、ひ弱な彼は小さい頃から罪の意識に苛まれたようだ。カトリックはミサさえ出ていればOKのようなところがあるが、個人が神と対峙するというプロテスタントはそうはいかないようだ。
アフリカの強い光と現地の人はいかにも自由に見えたようだ、この時代の流行である、現在ならばイスラムの戒律に縛られて特に女性は不自由とか見えるのだろう。その体験を基に書かれた作品が「地の糧」と「背徳者」である。
「地の糧」は、賢者の教えとしてこの「新しい思想」を表現する、それは瞬間瞬間を自分に正直に生きるということである「君の目に映ずるものが刻々に新たにならんことを 賢者とはよろずのものに驚嘆する人のことを言う。ところがそれを実際にやると同性愛者で背徳者になってしまう。
ジッドはニーチェの思想に影響されていた。ドストエフスキーの影響も見られる。近代の行き詰まりの中でプロレタリアートやらオリエントやらアフリカやら疎外された者に無垢な生命を求めたのである。しかしジッドはニーチェのようにキリスト教を否定しない、今のキリスト教を批判しながら向き合っていく。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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