1516年、ドミニコはヴァチカンに行き、新教皇ホノリウス3世より正式に修道会の認可を受けた。このローマ滞在で、ドミニコが祈っているとき、聖パウロとペトロが出現し「行って説教せよ」と言ったという。2人が「イエス様がフランチェスコに夢中でなあ、わしらは面目かけてキミにがんばってほしいんじゃ」と言ったかどうかは定かではない。
ともかく、この啓示によってドミニコは自分の修道会の方向に確信をもった。アウグスティヌスの戒律を採用したものの、「祈り働く」という従来の修道会とは根本的に違っていた。この修道会の義務は労働ではなく、勉学だった。
実に修道院の禁域はなく、各地に設立されつつあった大学が修行の場なのである。修道院内は沈黙でなく、積極的に質問や討論が推奨され実施された。そしてドミニコも積極的に勧誘し、若いインテリや、大学の先生までこの修道会に入っていったのである。
しかしまた清貧の義務も徹底している。どこかに行くにしても全く日当は出ない。行く先々で、人々に説教し托鉢して自分でその糧を得なければならないのである。ドミニコは3年間をかけて徒歩で、西欧一周をするのだが、その中でついにもう一つの魂とめぐりあう。
下はフラ・アンジェリコ作「ドミニコに出現した聖ペトロとパウロ」
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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