第5回十字軍1-「少年十字軍」の悲劇

インノケンティウスの御世1212年「少年十字軍」の名で呼ばれる悲劇が起きた。ドイツではニコラス、フランスではエティエンヌという少年が聖地を解放せよ、という神の声を聞いたといってドイツで7千人、フランスで3万人の子供を中心とした民衆が動き出したのだ。

彼らはイタリアに到着して聖地をめざすとがんばる。放っておけないので教皇インノケンティウス3世がニコラスを説得し、事は収まった。しかしフランスのエティエンヌらは、聖地に連れていくと騙され、北アフリカに連れて行かれて奴隷商人に売られた。

インノケンティウスは十字軍を欧州内の異端にまで拡大して、信仰心を拡大したが、少年までヴァチカンに従わず動き出す事態を由々しく思った。そこで第4回ラテラン公会議で、ユダヤ教や異端を取り締まり、信徒にミサを義務づけ、新しい説教修道会を承認した。その上で、今度こそ聖地に向けた十字軍を提唱したのである。

インノケンティウス3世の死後、後を継いだホノリウス3世は、コンスタンチノープルを襲った第4回十字軍を反省し、ヴァチカン主導でまっとうな十字軍を行おうとした。ところが事情はそううまくなかったのである。

下はウージェーヌ・ジョデル作「少年十字軍」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。