1215年11月インノケンティウス3世は、自らの総仕上げとして、第4回ラテラン公会議を開催した。この会議には71人の大司教、首都大司教、412人におよぶ司教、900人の修道院長たちが参加。教皇の望みどおり、古代の公会議に匹敵する大会議が実現した。開催時ではラテン帝国はまだあり、北方にもイベリア半島にも十字軍が戦い、アルビジョアの異端が掃討されていた。
「すべてを支配するザ・ワールド」そういうときは皆ジョジョの冒険のディオのモードになるようだ。教皇も「教皇は太陽、皇帝は月」と言った。さらに異端防止のため信徒の最低年1回のミサ聖体拝領と告解を義務づけた。ミサでのパンとワインの聖変化が決定され、異端審問制度がつくられた。ローマの首位権が確立され、ここで教皇は「ペトロの代理人」から「キリストの代理人」となった。
またこの会議ではユダヤ人とイスラムへの特別な服装が義務づけられた。ユダヤ人はキリスト教徒を雇うことが禁止され、シナゴーグの建設が禁止。ユダヤ人差別が合法化され、十字軍の費用などをユダヤ人から借りていた各国の王貴族がユダヤ人追放を行うようになる。
最後に教皇は、第五回十字軍を提唱した。「聖地解放」は彼の未達の仕事だった。そして自分の育てたフリードリヒ2世を神聖ローマ皇帝にすることを決定した。ドミニコ会、フランチェスコ会の新しい流れを承認し、いよいよ総仕上げの実行に入るつもりだったこの教皇は、その翌年に崩御された。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント