1874年オペレッタの傑作「こうもり」が上演された、作曲はヨハンシュトラウス2世である。彼に最初に勧めたのはフランスから来たオッフェンバックである。その後劇場支配人が作曲家の妻もまじえて強く勧める。2世もようやくヤル気になったが、しかし成功の道は遠くこれが3作目である。
シュトラウス2世は今回は台本に夢中になって書き上げたようだ。確かにこのオペレッタにはバブル時代のウィーンの姿があった、パーティにあけくれ、アバンチュールを求める夫婦、訪れる成金外国人、そしてその中で女優として成り上がろうと画策する田舎娘。
実際グランドオペラは、濃すぎるメインディッシュのようになり、長時間にわたり、歴史や神話劇になり、現実と乖離して、評論家があーだこーだと言い合うだけになっていた。新たに勃興した都市市民は、もっと現実に密着してわかりやすく、短くていい気持ちになれる劇を求めたのである。
しかし実は「こうもり」には政治的な意図が隠されている。ストーリーは主人公の友人の意趣返しだが、主人公はフランス人に化けている。ロシア人も居て、ハンガリーも出て来るが、オーストリアは国際政治でこうもりのように巧みに振る舞えというのだ。ともあれ憂さは酒で忘れようというのが当時のウィーンである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント