皇子アレクシオスの前で自称神聖ローマ皇帝フィリップの手紙が読み上げられた、このかたは実際には皇帝になれなかった。それによれば、ビザンチンの皇帝を交代させると、アレクシオスは十字軍への援助を1年間続け、さらにビザンチンをカトリックにすると約束したという。ボニファティオ以外は寝耳に水の話だった。さすがに話が違いすぎる。結局教皇にお伺いをたてようという結論となった。
教皇は、Noの返事を出した。ところがメールも電話もない時代。返事が届く頃には、ボニファティオとヴェネツィアが主導して、軍はすでにコンスタンチノープルに動き出していたのである。いつの世でも軍の独断専行事後承認はあるもののようだ。
教皇は「これは僕のせいじゃなくって、フィリップが悪いんだからね」とビザンチンに手紙を書いた。ご一行は離反者も出そうになったが、やむをえず同行することとなった。軍は、この壮麗な都を前にビビりながら、ボスポラス海峡対岸のカルケドンに陣を張った。
ビザンチンからは「何しに来たの?」という使者が来た。そこで十字軍側は弁の立つ騎士が「そもそも今の皇帝は反逆者であり、速やかに退位すべし」と最後通牒を行った。さらに皇子を船に乗せて連れて行って「彼を認めるか?」ときいたが、市民達にブーイングを浴びた。わけのわからん戦争が今始まる。
下はコンスタンチノープルに集結した艦隊
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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