第4回十字軍4-アンジュー帝国崩壊開始

アリエノールは最愛のリチャードの死後、「自分はなぜ生きているのか?」と自問したに違いない。実に77歳、その時代では超長寿である。しかし英仏にまたがるアンジュー帝国は、ジョンの即位に満足してはいなかった。3男の子アンジュー伯アーサーが王位を狙っていた。

仏王フィリップ2世がそれにつけこまないはずがない。母は国母として領地を巡回し、仏王との縁を深めようと彼の息子の縁談を取り継いだ。1200年孫にあたるカスティーリアの姫ブランシュと王太子ルイが結婚、後に彼女は聖王ルイ9世の母となる。アリエノールは華麗な結婚式を考えた。ところがそれにストップがかかる。

その前年、仏王は、離婚したはずの前王妃に教皇に訴えられたのだ。そして王権よりも教皇と考えるインノケンティウスが仏王の破門とフランスに聖務停止を宣言した。フィリップは、王妃を形ばかり復活させ、何とか息子の結婚は認めてもらった。アリエノールは次にジョンの嫁探しを最後の仕事に決めた。

しかし、母が嫁を見つけたとき、ジョンは勝手にラ・マルシュ伯ユーグの婚約者に手を出して結婚してしまった。ユーグは仏王に訴え、仏王はユーグの肩をもち、ジョンが無視すると、忠誠義務違反でジョン反対派と共に討伐の兵を挙げた。アンジュー帝国の崩壊が始まった。

下は母ブランシュと聖王ルイ9世、聖王はアリエノールのひ孫

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。