ロマン派の時代42-シチリアの夕べの祈り

1855年、パリ万博のためにヴェルディはオペラ座からオペラを依頼され、作曲したのが「シチリア島の夕べの祈り」である。このオペラの題材は、1282年聖王ルイ9世の頃、シチリア島を支配していたフランスに住民が反乱した事件である。まあとんでもないものを選んだものだ。

イタリアでは48年革命失敗の後、唯一憲章を維持したサルディーニャ王国への支持が大きくなった。そしてカルロ・アルベルトが引退して息子ヴィットリオ・エマヌエーレ2世が即位するとイタリア統一への期待が大きくなり、共和主義者、自由主義者の亡命者が流れこんでくる。

そして1852年、王国では現実的自由主義者のカブール伯爵が首相に就任する。彼は王国の近代化を図り、工業を振興し、鉄道を敷設した。その資金のため思い切って修道院を解散させ、その土地を国有化した。またイタリア統一にはオーストリアからの独立が不可欠であり、ナポレオン3世と結ぶぼうとした。

オペラの内容は、総督の息子と元の領主の娘エレナが愛し合って、結婚して和解しようとする。それは時遅く、その結婚の場に反乱者が押し寄せて、和解が台無しになるというのだから、かろうじて時世にも合っている。さらにイタリア人の独立心の強さも表現され、パリで受け入れられた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。