第1回十字軍14-真の十字架発見大軍制圧

城内にいたイスラムを拷問して、イエスキリストが磔刑にあったという「真の十字架」が発見され、兵士も巡礼者も狂喜してすがりついたという。しかしエルサレムへはエジプトの宰相アル・アフダル軍が迫っていた、その数3~5万人。ところが聖都解放を果たした十字軍兵士は帰ってしまった。

もともと欧州正規諸侯軍はエルサレム解放が目的。残ったのはここで一旗あげたいという野望軍1万もなく、うちレーモン軍は、エルサレム王に失敗し、他を征討していた。特にこれまで無類の強さを誇ったノルマン公ロベールが帰ってしまった。

だがこの一旗組は、卑怯でも何でもこいの男達である。エジプト軍の使者に適当な返事をして、使者が到着しない前に奇襲に討ってでたのだ、疾きこと風のごとし、もちろん真の十字架を先頭に立ててである。その上、遊牧民から奪ったラクダや羊も走らせ、軍を大きく見せた。

偵察モードのイスラムに、大砂塵が見えた。軍は算を乱して逃げ、城壁の前で多くの死体を晒し、逃げ帰っていった。実に冷静かつ狂信的なゴドフロアの勝利。彼は「理想の聖戦士」と祀りあげられ、ローエングリンの白鳥の聖騎士の子孫という伝説が生まれる。そしてヴァチカンより司教代理が到着し、王国は盛大にクリスマスを祝った。

下はギュスターヴ・ドレ作「アスカロンの戦い」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。