ロマン派の時代30-ハイネの政治詩

「バイロンハイネの熱なきも♪」バイロンと並び称される抒情詩人であり、恋愛詩人のハインリヒ・ハイネだが、実は時事詩も書いているのである。彼は1843年にカール・マルクスとパリで親交を深め、翌44年にシレジアの貧しい職工が蜂起した「シレジアの職工を発表して、エンゲルスの激賞を受けた。

その年に発表された「新詩集」には24編の政治詩を入れ、ドイツ最高の政治詩として高く評価されている。もともと宮廷には吟遊詩人が侍り、王の偉業を讃える詩を詠んで、パーティで発表した。政治と詩は密接に関係がある。フランス革命では風刺詩人が大活躍した。

実は1840年代は「傾向詩」と呼ばれる政治批判の詩が大流行した。ところがハイネは47年に「アッタ・トロル」という叙事詩を発表して、ユーモアも含めて「傾向詩」を批判するのである。「アッタ・トロル 傾向熊 道徳的宗教的 夫として劇場的 時代精神に誘惑されて 森から出てきたままのサンキュロット」

「踊りは甚だつたないが 気高き高潔なる胸には信念を抱き しばしば 悪臭を放ったこともあり 才能はないが性格あり」要するに、下手くそということである。政治や宗教では、下手でも時流にのったり、上の庇護でブームになることがままあってベストセラーになるのは現代でも変わらない。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。