第1回十字軍12-聖槍発見アンティオキア公国

十字軍が侵入したアンティオキアは阿鼻叫喚の地獄と化した。しかし城外にはようやくモスルからの援軍が到着して包囲し、十字軍は一転ピンチとなった。しかし何と、軍の中に居た貧乏修道士が、城内にキリストを刺した聖槍がある、という夢を見たという。

城内の聖ペトロ教会をトゥールーズ伯レーモン4世が探したところ聖槍発見!軍内はお祭り騒ぎで、1098年7月2日乾坤一擲の決戦に討って出れば大勝利!イスラム側はやはりバラバラで、ダマスカス軍が崩れると皆敗走してしまった。この聖槍は、レーモン4世のでっちあげのようだが、第一回の成功はこうした宗教的熱狂なしにはありえなかった。

戦後、アンティオキアの領有をめぐり、聖槍を発見したレーモンと武功をあげたボエモン1世が対立をくり返した。しかし周辺を制圧する中で、レーモンの部下がイスラム兵の人肉を食べたという噂がたった。不利となったレーモンはエルサレムに目標を変えて、ボエモンが初代アンティオキア公となった。

それからエルサレム行きは、人肉食の噂で抵抗もなく通過。当時エルサレムは、ファティーマの領地で、宰相はビザンティンにシリア分割を打診したが、ビザンティンも止められず、遂に1099年6月9日十字軍は聖地に到達した。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。