カノッサの道9-皇帝の逆襲と教皇の憤死

死んだふりのハインリヒの反撃が始まった。ドイツ諸侯はシュヴァーベン公ルドルフを新帝に立てて反乱を起こしたが、皇帝が悔悛をして破門を取り消された以上大義名分に欠けた。反乱側が決め手を欠く間に皇帝側が力を蓄え、1080年メルセブルクの戦いで、反乱側のルドルフが戦死で皇帝が有利となった。

勢いに乗るハインリヒは、皇帝側司教をマインツに召集して教皇を「異端者、毒蛇」とケチョンケチョン。ラヴェンナ大司教を対立教皇クレメンス3世としてローマを攻めた。それでも教皇は、サンタンジェロ城に4年間も立て篭もって抵抗する。1084年ハインリヒは対立教皇によって帝冠を受けた。このとき聖ユーグが仲裁に入ったのだが「やかましわい!」と言うこときかなかった。85年にシチリア遠征から帰還したノルマンの手によって教皇は救出された。しかしローマに入ったノルマンやイスラム傭兵が略奪を行い、ノルマンもろとも教皇もローマを追放されてしまったのだ。

グレゴリウスはなおもサレルノでがんばるのだが、威光も尽き、5月25日「流浪の地で死ぬのは正義を愛し、不正を憎んだからだ」という言葉を残しご逝去。第2ラウンドKOでハインリヒの勝利!で幕を閉じると思いきや、第3ラウンドがある、マティルデの出番。Who is Last Man Standing?

下はサレルノ大聖堂にあるグレゴリウス7世の聖遺体

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。