オットー3世の後のドイツでは、世にも稀な聖人カップルが誕生する、聖帝ハインリヒ2世と聖皇后クニグンデ。聖王や聖女妃は居るが同時は珍しい。ハインリヒ2世はオットー大帝の弟の血を継ぐが、皇后はカール大帝の血をひくセレブである。
ハインリヒ2世は、彼を認めぬ諸侯も多く居たが戦争はせずに、各地を巡回して承認を得たというからさすが聖帝である。そして内政に力を入れ、国内の秩序を再建、カール大帝を理想として、教会を改革し、聖職者にふさわしくない者を更迭してふさわしい者に入れ替えた。
1014年ベネディクト8世に戴冠され、共にクリュニーで始まったキリスト教改革を推進するなど良好な関係をつくり、イタリアの平和も実現した。ポーランドとは一時戦争をしたが、マイセンを与えても講和し、キリスト教の布教に協力し、ハンガリーには聖王カップルを実現させた。
そして1023年、フランスの弱体化で皇帝は、フランスに軍を進めた。ところが対面するや、仏軍に単騎で近付き、王ロベール2世と握手して、平和の誓いを行ったのである、まさに聖帝すぎ。実にハインリヒ2世のもとで一時ではあるがヨーロッパの平和が達成される。本当にキリストの教えに目覚めた者がトップとなった実例をつくったのである。
下はバンベルク大聖堂の聖ハインリヒ2世と聖クニグンデ像
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント