帝国分裂1-ルートヴィヒ敬虔帝の死者祈祷

14年、父の後を継いでルートヴィヒ1世が即位した。帝は父の残したスタッフと共にキリスト教帝国を深化させようとした。特にアニアーノのベネディクトゥス(聖人)と共に「修道院勅令」を発布して、(元祖)ベネディクトゥスの戒律を改良して定着させた功績がある。

アニアーノのベネディクトゥスは、やはりピピン3世とカール大帝に仕えたが、773年にカールの離婚に反対して修道士となり、修業後779年に、アニアーヌに自己資金で修道院を建立して院長となった。ルートヴィヒの信頼厚く、814年アルザスのマルムティエ大修道院長となり、さらに全修道院の総修道院長となっている。

この「修道院勅令」は、修道院を帝国統治のツールとして深く規定するものだった。中でもここで定式化されたのは「死者祈祷」である。現代に至るまで、国家は尽くした者を祀る。ましてや中世初期である。

キリスト教では、主君の命に従って従軍した者の罪はない。しかし騎士は戦場で、臨終の秘跡なしに死ぬのを恐れた。そこで一族のために死した者のために修道院が祈ることで、死後天国に行けるというシステムを作ったのである。このことによって修道院には寄進が行われるようになり、繁栄し、進化することになる。

下はジャン・ジョセフ・タッシーの「ルイ敬虔帝」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。