カール大帝の夢23-欧州独立イスラムと対等

カールの西ローマ戴冠はヴァチカンの独断で、東ローマの出方が注目されたが、東ローマには介入する力がなく、むしろ女帝エイレーネとの結婚が提案された。彼女は息子を追放して自ら女帝になったが、802年にエイレーネが失脚して立ち消えとなった。

806年に、ヴェネツィアをフランクが領有したことで両帝国は紛争を起こし、結局海軍力に勝る東ローマがヴェネツィアを奪回して810年に講和がもたれた。このときの講和文にはカールを「兄弟」と呼び、その後には「皇帝」と呼んで事実上承認している。

またカールはアッバース朝絶頂期のハールーン・アッラシードとも外交関係をもった。当時はもうエルサレムがイスラムの支配下にあり、カールとしてはエルサレム巡礼の安全のために関係は欠かせなかった。これはうまくいっていたようで、エルサレム総主教からカールにエルサレムの鍵が渡されている。

そのときカールはなんとイスラムに象を要求。802年届けられた象は「アブーアッバス」と名付けられ、810年にデーン人との戦争で死ぬまで、カールの軍の重要な戦力となった。恐らくヨーロッパ北部まで来た最初の象ではないだろうか?カールの夢の一つは欧州が東ローマやイスラムと対等に付き合える国になることだったが、それは叶えられたのである。

下はイスラムからの贈答品を見るカール大帝。象も居ます、左下は本当に戦闘した象メイワクだゾー

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。