カール大帝の夢22-実はドッキリ?皇帝戴冠

さて、いよいよ歴史の教科書にこれだけは載っている、カール大帝の西ローマ皇帝戴冠である。この儀式によって西欧と西方教会は、東ローマから名実共に独立し、レオ3世は聖人の位を得た。しかしアインハルトの「大帝伝」ではその経緯は微妙である。「教皇の意図を察知していたら聖堂には行かなかった、と大帝は言った」と書かれている。

ということで、800年12月25日のクリスマスミサで行われた戴冠は、欧州最高のドッキリ?ということでもなかったろうが、カール自らが皇帝を望んだという形にしたくなかったことは確かである。なかなか微妙な経緯である。

ともかく、名目はクリスマスミサなのである。そこへカールが行き、ペトロの祭壇に膝まづくと、そのままローマ皇帝を聖別する連祷が始まり、立ちあがったとき、皇帝の冠がはめられ、列席した人々からは「神によって戴冠された偉大なカール万歳!」と歓呼の声があがったという。

カールの周りには、王国に誇りを持つ諸侯が居た。西ローマとなってフランクが消えるなど許すわけがない。そこでカールの称号は「神に戴冠されたローマ帝国皇帝にしてフランクおよびランゴバルトの王」というもっと長ったらしいものとなるのである。しかしアルクィンは歓喜に満ちて言ったかもしれない「皇帝おめでとうございます、すべて神の御業です」

下は何となくドッキリっぽい戴冠の絵

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。