カール大帝の夢21-教皇レオ3世を審問

皇帝打診よりもカール大帝は、もう一息のザクセン討伐やデーン人の来襲で忙しい。ところがヴァチカンは多分アルクィンに「なんとかしてくれ」と頼んだのだろう、カールはまたトゥールのアルクィンのところへ相談に行く。2人の会話を想像してみよう。

「皇帝を打診されたようですね」「そうだけどな、オレはもう王だからな、別に教皇からわざわざ冠をかけてもらうこともねえよ」「いや陛下、あなたこそ神に選ばれたかたです、それを世界に示さねばなりません、特に東ローマには」「またそんなウルウル顔して言う!だいたいローマも内で揉めてるじゃねえか」「そうですな、まずそれを直してもらわないと」

800年8月、カールは大軍を率いてマインツを出発した。そのままローマへ入ると思いきや、ラヴェンナに留まった。11月23日メンターナに赴き、ここで教皇がカールを出迎えにローマから赴いた。そしてローマに入ったカールが言いだしたのは何と教皇レオ3世の潔白調査であった。

12月1日、カール達は3週間もかけて反対派も呼び、教皇レオの調査を行った。そして決まったのは、教皇レオ3世が、聖書に手を置いて、自ら潔白を証明するということだった。カール達は、教会の守り手として、教皇がキリスト教に背くなら許さぬ、という実力デモンストレーションを行ったのであった。

下はラファエロ作「潔白の証明をするレオ3世」下に教皇の嫌そうな顔の拡大図付

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。