西ローマ滅亡の道11-教皇レオ無手の対決

アッティラの侵攻は、キリスト教にも爪跡を残している。ケルンの聖ウルスラ伝説は、1万1千人の処女と共にヨーロッパ巡礼に出かけたブリテン王女ウルスラの話。ケルンに到着したところ、そこを包囲しているフン族に虐殺されたという伝説。後年、歴史的根拠がないとされたが、ケルンの教会には大量の人骨装飾があり、世界中に修道会がある。

こちらはマジっぽいパリの守護聖女ジュヌヴィエーブ。フン族がパリを包囲したとき、彼女はパリの人達を励まして、祈りで支え、パリは解放されたという逸話である。

そしてこれはマジ話。452年改めてイタリアに侵攻したアッティラは、各地を略奪した。このとき、恐れた住民達が干潟に逃げたことから、水上都市ヴェネツィアができたといわれている。皇帝もどうしようもない中で、立ったのが教皇レオ1世である。

実はこの頃は教皇は存在せず、ローマ司教レオにすぎない。レオは、ローマ代表として、マントヴァ付近でアッティラに会見。アッティラを退却させた。実際は金を払い、陣営にも病気が蔓延していたが、ローマを攻めれば自分が滅びるゾと脅しも使って交渉、退去させた力は立派なものだ。それを認めないなら日本の勝海舟もたいしたことはないということになる。ともかく翌年アッティラが死んだことでローマの権威はあがることとなった。

下は有名なヴァチカンのラファエロ作「レオ1世とアッティラの会見」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。