アウグスティヌスと母モニカ5-ミラノの元異教徒司教

378年のハドリアノポリスの大敗後、東が空位となり、引退していた名将テオドシウスが東帝となった。西はウァレンティアヌス2世とグラティアヌス兄弟が分割統治を行った。テオドシウスは今度こそ西ゴート族に領地を与え、ローマ軍に引き入れることでゲルマンとの和睦を果たし、東方を安定させた。

ここで西方で活躍したのがミラノ司教アンブロジウスである。彼は元々キリスト教の人間ではなく、ミラノの首席執政官という行政の人間である。ところが374年、ミラノ司教死後、なんと畑違いの司教に推薦された。彼はロバに乗って逃亡しようとするが、民衆に捕まって仕方なく司教を受けることにした。受けるからには全財産を教会に寄付した。

彼は非常に頭脳明晰な人間で、キリスト教をまたたく間に会得し、しかも政治力もあり、西帝グラティアヌスを説得し、ローマ神殿のトップである最高神祇官の就任を止めさせた。383年、グラティアヌスは、ブリタニア軍司令官マクシヌスの反乱で殺害され、西帝はウァレンティアヌス2世1人となった。

384年、ローマ市長シンマクスは、ミラノから修辞学教師を送るよう頼まれた。そこで応募したのがアウグスティヌスである。彼は当選し、帝国の実質首都となっていたミラノに向かう。そしてそれを出迎えたのが司教アンブロジウスであった。息子がミラノに向かうときいて、母モニカもミラノに向かう。いよいよ3人の運命はミラノで絡み合うのである。

下はアンブロジウスと皇帝テオドシウス

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。