バロックの時代14-オランダのレンブラント登場

三十年戦争は新旧教の争いとはいうものの、フランスが反ハプスブルクの立場で新教国側を支援した結果、欧州諸国間戦争となっていった。その恩恵を受けたのはスペインの狙いであったオランダである。オランダはフランスと同盟を組んで、スウェーデンを巻き込んで直接の戦火を免れた。

そして海外貿易の結果、黄金時代が訪れる。1628年からここに住んだ哲学者デカルトは、その有名な「方法序説」の中で「ここでは皆自分の利益だけを考えている」と述べている。その中で独特のバロック文化が花開く。画家レンブラントも自分の利益を追求する一人だった。

32年にレンブラントは「テュルプ博士の解剖学講義」でそのチャンスを掴む。オランダでは教会も行政施設も質素の代わりに民間は豪勢に絵画を飾るようになった。この絵も外科医組合会館に掲げるものだった。そしてこの絵に登場するのはアムステルダムの名士ばかり。

レンブラントは、それまでの記念写真のような絵ではなく、まさに解剖している現場そのものの動的な絵画をつくりだした。ここにはすでにバロックを特徴づける劇的な明暗が表れている。レンブラントはイタリアへ行かなかったが、アムステルダムはイタリアから買った絵画があちこちで見れて模写することができたのだ。

テュルプ博士の解剖学講義

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